不妊治療はいつまで続けるべき?

不妊治療を続けるなかで、
「いつまでに妊娠できなかったら諦めるべき?」
「何歳が限界?」
といった不安を抱えている方もいるでしょう。

残念ながら、出産や妊娠はいつまでも可能なわけではありません。不妊治療は身体的にも肉体的にも負担がかかり、かつお金もかかることから、いつまで続けるかはパートナーと話し合い決めておくべきです。

ここでは、不妊治療をいつまで続けるべきかを解説します。

不妊治療はいつまで続ける?目安は何歳まで?

不妊治療の継続期間に明確な年齢制限はありませんが、一般的に女性の年齢が40歳を超えると妊娠率が急激に低下します。そのため、多くの医療機関では45歳前後を不妊治療を終える目安としています。ただし、個人差が大きいため、医師と相談しながら決定することが重要です。

保険適用の観点からは、43歳未満までが体外受精・顕微授精の保険適用の対象となっています。このため、治療を進めるかどうかは、保険制度や経済的な負担も考慮しながら、医師と相談して決めることが大切です。

不妊治療に区切りを設けずいつまでも続けるリスクとは?

不妊治療を長期間継続することで、身体的・精神的・経済的負担が伴います。特に年齢が高くなるほど妊娠率が低下し、妊娠中や出産時の合併症のリスクが高まります。また、治療が長期にわたることにより生活の質(QOL)が低下したり、家族やパートナーとの関係に影響が出る場合があります。

また、治療の見通しがつかぬまま続けることで、他の選択肢(養子縁組、里親など)を検討する機会を逃す可能性もあります。治療の見通しや自身の状況を定期的に評価し、適切な時期に区切りをつけることも必要なのかもしれません。

卵子凍結をすればいつまでも妊娠可能?

卵子凍結は将来の妊娠可能性を高める選択肢の一つですが、万能な方法ではありません。凍結時の年齢が若いほど、質の良い卵子を保存できる可能性は高くなりますが、凍結卵子を使用しても妊娠率は年齢と凍結卵子の個数に左右されます。加齢に伴う子宮機能の低下や全身の健康状態の変化により、妊娠・出産のリスクは増加します。

卵子凍結は選択肢の一つとして考えられますが、「いつでも妊娠できる」という過度な期待を抱くのではなく、現実的な可能性を理解した上で検討することが大切です。

不妊治療への保険適用はいつまで?43歳以上はすべての治療が自由診療

2022年4月から不妊治療の保険適用が開始されました。体外受精・顕微授精については、治療開始時の妻の年齢が43歳未満の場合に適用されます。43歳以上の場合は全額自己負担となります。

一般不妊治療(タイミング法、人工授精など)については保険適用の年齢制限がありませんが、体外受精・顕微授精への移行を検討する際には年齢を考慮する必要があります。

保険適用の詳細は受診時にご確認ください。

そもそも女性の妊娠適齢期は?

女性の妊娠適齢期は一般的に20代前半から30代前半とされています。

この時期は卵子の質が最も高く、妊娠率も高いとされています。ただし、個人差が大きいため、一概に言えない面もあります。30歳を過ぎると徐々に妊娠率が低下し始め、35歳を過ぎると急速に低下します。

しかし、社会的な要因により晩婚化・晩産化が進んでいるため、個人の状況に応じて適切な時期を考えることが重要です。

不妊治療はいつから始めるべき?

不妊治療の開始時期は個人の状況によって異なります。一般的には以下の目安に考えましょう。

・35歳未満の場合:避妊せずに1年以上妊娠しない場合に検討します。
・35歳以上の場合:年齢が上がると妊娠率は低下するため、妊活を始めて6ヶ月を目安に早めの受診をおすすめします。
・リスク因子がある場合:子宮内膜症や子宮筋腫、極端な月経不順がある場合は、妊活を始めてから早期の相談が望ましいです。

特に35歳以上でリスク因子がある場合や、40歳以上で妊娠を希望する場合は、早めに生殖医療専門医を受診することが望ましいでしょう。

年齢や健康状態によって妊娠の可能性は変わります。不妊治療は早く始めるほど選択肢が広がり、妊娠の成功率も高くなります。不安に感じることがあれば、一人で悩まず専門医に相談してみてください。

加齢により妊娠率が低下する理由

卵子の数や質が低下するから

女性は生まれた時から一定数の卵子を持っており、加齢とともにその数は自然に減少していきます。排卵や自然消滅により、卵子の数は30代後半からかなり減少します。

また、長年の酸化ストレスなどの影響は卵子の質の低下に繋がります。女性の年齢の上昇は染色体異常のリスクの懸念となります。

さらに、加齢により卵巣機能が低下し、ホルモンバランスも崩れやすくなります。これにより受精や着床の確率が低下し、流産のリスクも増加します。

自身の健康維持が難しくなるから

年齢が上がってくると、高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まります。また、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患も徐々に増加します。

これらの健康問題は妊娠・出産に影響を与える可能性があり、妊娠率の低下や妊娠合併症のリスク増加につながります

年齢で妊娠を諦めたくない方が心がけるべきこと

治療方法のステップアップを早い段階で検討する

年齢が高くなるほど自然妊娠の可能性は低下するため、早めに不妊治療を開始し、必要に応じて治療のステップアップを検討することが重要です。

タイミング法から人工授精、体外受精へと段階的に進むことが一般的ですが、年齢によっては早めに体外受精の検討が必要な場合もあります。

バランスの良い食生活を日々心がける

妊活において食事が重要な理由は、妊娠に適した体づくりと胎児の健全な発育のためです。

特に、葉酸、鉄分などの栄養素は、妊娠初期の胎児の神経管形成や正常な発育に重要です。妊娠を計画する少なくとも2ヶ月前からの葉酸摂取は特に重要です。普段の食事で1日240μgに加え、サプリメントから効率よく400μgを取ることが推奨されます。

過度の肥満や痩せは妊娠に関するホルモンの分泌に影響を与える可能性があるため、食事管理を通じて健康体重を維持することも重要です。

さらに、妊活中から正しい食生活習慣を身につけることで、妊娠後の体調管理や胎児の健康にも良い影響を及ぼすと考えられます。極端なダイエットは避け、適切な栄養摂取を心がけましょう。

適正体重をキープする

妊活において体重管理が重要な理由は、適正な体重が妊娠のしやすさや妊娠後の健康に大きく影響するためです。

肥満や痩せは排卵障害や不妊のリスクが高く、妊娠後も様々な合併症のリスクが高まります。

具体的には、BMI(体重kg÷身長m²)が18.5~25の範囲内が妊娠に適しているとされています。ただし、BMIだけでなく、内臓脂肪の量も重要です。過剰な内臓脂肪は卵子の質や排卵、着床へ悪影響を及ぼす可能性があります。

妊活中の女性は、自分の体格に合わせた適正なBMIを目指し、健康的な生活習慣を維持することが重要です。

ストレスを溜め込みすぎない

慢性的なストレスは、ホルモンバランスを崩し、排卵や受精に悪影響を与える可能性があります。ストレス解消法を見つけ、リラックスする時間を設けることが重要です。

具体的には、妊活中のストレス対策として、以下の習慣を心がけることが効果的です。

  1. バランスの取れた食事と適度な運動を心がける
  2. 十分な睡眠をとり、規則的な生活リズムを繰り返す
  3. リラックス法(瞑想、深呼吸、アロマテラピーなど)を取り入れる
  4. パートナーや信頼できる人に悩みを相談する
  5. 週末や月に1回など、定期的な楽しみを見つけて息抜きをする

これらの習慣を取り入れることで、ストレスが軽減され、妊娠しやすい体づくりにつながります

十分な睡眠をとる

睡眠不足は妊活に悪影響を及ぼします。

その主な理由は、ホルモンバランスの乱れと睡眠不足によるストレスの増加にあります。質の良い睡眠は、ホルモンバランスの調整や体の回復に重要な役割を果たします。適切な睡眠は、排卵や健康の質に関わる重要なホルモンの分泌を促進します。

妊活中は規則正しい睡眠習慣を心がけ、7〜8時間の睡眠時間を確保することが理想的です。寝室の環境も整えましょう。適度な温度と、静かで暗い環境が質の良い睡眠につながります。また、適度な運動や、バランスの取れた食事も上質な睡眠に貢献します。

これらの習慣を継続することで、妊活に適した体調を整えることができます。

すこやかな妊娠を妨げる習慣をやめる

男女ともに気を付けていただきたいのが喫煙です。タバコに含まれる250種類以上の有害物質は、妊娠率の低下や胎児への悪影響がわかっています。副流煙や残留受動喫煙も避けるべきです。

他にも、過度の飲酒、カフェインの過剰摂取は、妊娠率を低下させる可能性があります。アルコールは胎盤を通じて胎児の血液中に移行するため、妊娠した場合は禁酒となります。

妊娠中のカフェイン摂取については世界保健機関(WHO)や多くの学会が、1日200〜300mg未満を推奨しています。これはコーヒーなら1日2杯程度に相当します。玉露は特にカフェイン含有量が多いので注意が必要です。カフェインの代謝には個人差があるため、体調や妊娠経過に応じて調整することが大切です。

母子感染の可能性がある感染症をチェックする

風疹やトキソプラズマ、サイトメガロウイルスなどの感染症は、胎児に影響を与える可能性があります。その対策は以下の通りです。

風疹対策・風疹ワクチン(麻疹風混合ワクチン)の接種が最も有効
・妊娠中の女性を保護するため、周囲の人も予防接種を受ける
トキソプラズマ症対策・食肉は十分に加熱し、果物や野菜は清潔に洗う
・ガーデニング時は手袋を使う
・猫の糞や土を触った後はよく手を洗う
サイトメガロウイルス対策・石けんと水で頻繁に手を洗う
・食べ物、飲み物、食器を共有しない
・唾液や尿との接触を気にする

感染が疑われる場合は早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です

子宮頸がん検査を定期的に受ける

子宮頸がん検診を定期的に受けることで、子宮頸がんの早期発見・早期治療が可能になります。

また、検診時に子宮や卵巣の状態をチェックすることで、不妊の原因となる疾患を発見できる可能性もあります。2年に1回の検診を心がけましょう。

また、地域によっては検診の公費制度もありますので、住民票が登録されている役所のHPなどでご確認ください。

いつまで不妊治療を続けるべきか?」に迷う場合は当院にご相談ください

不妊治療をいつまで続けるのかは、お一人お一人の状況によって大きく異なります。身体的・精神的・経済的な負担、年齢、これまでの治療経過や見通しなどさまざまな要因を総合的に考える必要があります。

当院では、患者の皆様のご希望やお悩みを丁寧に伺い、最適な治療方針や治療期間について個別にアドバイスいたします。迷いやご不安がある場合は、遠慮なくお気軽にご相談ください。

不妊分野に精通した経験豊富なスタッフがチームで連携し、心を込めて皆様をお手伝いさせて頂きます。