不妊治療と仕事は両立できる?

不妊治療を始めるにあたって、
「仕事と両立できるか不安」
「休職しないとダメなのだろうか」
といった悩みを抱えている方もいるでしょう。

たしかに不妊治療と仕事の両立は簡単ではないかもしれませんが、実際に両立しながら妊娠に至った方も多くいらっしゃいます。

ここでは、不妊治療と仕事の両立について解説します。

不妊治療と仕事を両立できる人は多い?

厚生労働省の「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」によると、不妊治療中または治療経験者のうち、55.3%の人が「不妊治療と仕事を両立している(していた)」と回答しています。

実際に当院でも、多くの方が仕事を継続しながら治療を行っています。どのようなスケジュールで治療を進めていくのかなどを確認しながら、治療のステップアップや検査の時期などを検討される方もいらっしゃいます。

不妊治療は「仕事との両立が難しい」というイメージが大きくなりがちですが、実際には当院ではほとんどの方が両立をしながら治療を行っています。

不妊治療と仕事が両立できないと感じてしまう理由

精神面での負担が大きいから

最も多い理由は、精神面での負担が大きいことです。
不妊治療では高度な治療を行うにつれて、通院頻度が高くなることや、急な通院が必要になることがあります。そのため、

「周りに迷惑をかけてしまい心苦しい。罪悪感を感じる。」
「上司・同僚の理解が得られない。」
「治療のことを職場でカミングアウトすることが難しい/勇気がない。」

と感じる方もいます。

また不妊治療ではゴールのみえない中、多くの感情的な波が押し寄せます。期待や不安・失望といった感情が交錯する中で仕事をこなさなければならないプレッシャーは、精神的負担を増やします。

良い結果がでない時の周囲からの何気ない一言で傷ついてしまったり、自分より後に結婚した人が妊娠し産休に入って気持ちが落ち込んだりして、不妊うつを発症するケースも珍しくありません。

肉体面での負担が大きいから

不妊治療と仕事を両立させることが肉体的に大きな負担となる理由は、治療内容やその影響が日常生活や仕事のパフォーマンスに直接的に関わるためです。

不妊治療では、検査をしながら並行して治療も進めていきます。そのため、月経周期に合わせた検査が必要になったり、排卵誘発剤やホルモン刺激療法などによりお腹が張る・むくみ・頭痛・吐き気・倦怠感などの副作用に悩まされることがあります。

そのような状況で仕事をしながら通院し、状況によっては数時間かかる診察を受ける必要がある不妊治療では、身体的負担が大きくなります。

また不妊治療中の精神的な負担(不安・プレッシャーなど)が長期間続くと、免疫力の低下・筋肉の緊張・睡眠障害・消化不良など肉体的な問題が起き、仕事に支障をきたす原因になることもあります。

何度も通院する必要があるから

不妊治療中の通院回数は治療内容や進行状況、体の状態によって変わってきますし、急な通院が必要になることもあります。

通院の度に仕事を調整したり、上司・同僚に業務のサポートをしてもらったりと、仕事に支障をきたしてしまうこともあります。

また通院するにあたって長時間の待ち時間を余儀なくされたり、仕事のスケジュールが立てにくく仕事との両立が難しい状況になることもあります。

治療内容によっては通院後に会社に戻ることが体力的に負担となり、身体的負担が増します。このような状況が続くことで慢性的な疲労が蓄積され肉体的・精神的な負担が増えます。

急に仕事を休まなければいけないケースがあるから

不妊治療においては、月経周期や体調などによって通院予定を事前に決められない場合が多く、急に仕事を休む必要があることがあります。

人工授精周期の場合、排卵日に合わせた通院が必要になるため、急な通院が必要になり、場合によっては仕事の調整が必要な場合もあります。

体外受精の場合、卵胞の育ち具合・ホルモン値によっては急な採卵が決まり、通院が必要になります。採卵の場合、麻酔を使用することが多く通院が一日がかりになり、急に仕事を休む必要があるケースもあります。

不妊治療と仕事を両立させるには

不妊治療を受けながら仕事を続けるにあたり、これまで会社に貢献してきたということ、また今後も貢献していくことから、休暇制度等を利用することについて気兼ねする必要はありません。

しかし休暇等を取得する際には、上司、同僚等周囲が業務をサポートしてくれていることを念頭に置きながら、感謝する気持ちを伝えることも大切です。

会社の制度を活用する

不妊治療を受けながら仕事を続けるためには、自分が勤める会社に、どのような休暇制度・両立支援制度があるかを調べてみることも必要です。参考までに、不妊治療支援制度等がある企業の割合は26.5%という調査結果があります。

会社によっては不妊治療のために「不妊治休暇・休職」のような制度や、治療費の補助や融資を行うなどの制度を導入している場合があります。

また、通院に必要な時間に合わせて休暇を取ることができるよう、既存の制度の年次有給休暇を時間単位・半日単位で取得できるようにしたり、不妊治療目的でも利用できるフレックスタイム制を導入して、出退勤時刻の調整ができるようにしている場合もあります。

上記のような制度が会社にあるかどうか、就業規則を調べたり、人事労務などの担当者に聞いてみるのもいいでしょう。

不妊治療連絡カードを活用する

不妊治療連絡カードは、不妊治療を受けている方が職場や周囲に状況を伝えるためのツールです。

このカードは治療のために急な通院や勤務時間の調整が必要な際に使用されることが多く、治療に対する理解を得やすくする役割を果たします。

カードには、治療の必要性や特別な配慮が求められることが簡潔に記載されており、本人が直接詳細を説明することなく、上司や関係者に状況を共有することができます。

これにより、不妊治療中の負担軽減や仕事との両立がしやすくなるメリットがあります。
自治体や医療機関が発行する場合が多く、一部では会社が独自に用意しているケースもあります。

当院でも不妊治療連絡カードを作成することが可能です。

参考:厚生労働省「不妊治療を受ける男女労働者・事業主・主治医等の皆さまへ 不妊治療連絡カードをご活用ください!

通院しやすい医療機関を選ぶ

まずは、通いやすい病院かどうかがポイントです。

自宅や職場からのアクセスが良く、朝や夜間の対応が可能な病院であれば、通院の負担は軽減されます。

一般的な不妊治療では、月経周期に合わせて1ヵ月に複数回の受診が必要です。
タイミング療法や人工授精の場合は1ヶ月に2〜3回、体外受精の場合は1ヶ月に3〜4回の通院が平均的です。

保険適用により安全・簡単に自己注射ができるキットが使用できるようになり、通院回数は改善されましたが、それでも月に数回は病院に通う必要があります。

病院へのアクセスが悪かったり、診療時間が合わなかったりして、途中で通えなくなってしまうケースは珍しくはないため、不妊治療の病院を選ぶときはなるべく通いやすい病院を選ぶことをおすすめします。

看護師やカウンセラーに悩みを相談する

不妊治療のカウンセリングでは、患者カップルの自律的決定をサポートするために、不妊治療に対する適切な情報や、見通しなどに関する情報の提供が行われます。

また、治療に伴う心の負担を最小限にすることを大切に考え、すべての方が安心して話せる場を提供しています。

不妊治療のカウンセリングでは、次のようなことを話すことができます。

・治療方法や現在の状態を確認したい
・治療のステップアップについて相談したい
・治療を続けるかどうか相談したい
・治療に関する不安や辛さを話したい
・治療の選択における夫婦それぞれの想いを話し合いたい
・治療に伴うストレス(夫婦関係、家族・親戚との付き合い、職場の問題)について話したい
・医師・病院との関係について話したい

カウンセラーとの相談は、治療と仕事を両立させるための心の支えになるだけではなく、具体的な行動計画を立てるためにも有益です。保険での不妊治療中の場合、カウンセリングの料金は発生しません。

診察の時間だけでは解決しないこと、ゆっくりと時間をかけて話をしたいことや聞きたいことがある場合などに気軽に利用してみてください。

不妊治療と仕事の両立に悩む場合は当院にご相談ください

最初にもお伝えしたように、当院でも多くの方が仕事と両立しながら治療を行っています。

実際に通院するまでには不安が多く「本当に両立できるのか」「体外受精を考えているのに、仕事を辞める必要がないのか」など悩みを抱えながら受診されていらっしゃいます。

そのため当院では皆様の仕事の状況などライフスタイルを伺いながら、治療や検査を進めさせていただきます。病院側でも工夫ができたり、アドバイスをできることも実は多くあります。

当院は午前・午後・夜間と診療時間を設けており、またカウンセリングも月曜から土曜まで対応しています。

仕事を続けながら、少しでも負担を軽減した通院と治療ができるよう私たちもサポートさせていただきますので、まずは一度ご相談ください。