子宮内膜擦過術(スクラッチ法)とは
子宮内膜擦過術(スクラッチ法)とは、胚移植をする前の周期にて、子宮内膜にわざと小さな傷をつけ、着床率を高める方法です。
子宮内膜擦過術の機序(メカニズム)については、正確な詳細はまだ完全に解明されていません。子宮内膜に細かい傷をつけると、傷の修復のためにサイトカイン(タンパク質)が分泌され受精卵が着床する際の接着剤の役割となり、着床の促進・免疫反応の正常化が促されると考えられています。
その結果、複数回胚移植を行っても着床されない方において、妊娠率が向上するという報告があります。効果は2~4か月持続するとされています
子宮内膜擦過術(スクラッチ法)を検討すべき方
これまでに複数回胚移植を行い、反復して着床・妊娠に至らなかった方は検討すべきといえます。
子宮内膜擦過術(スクラッチ法)で着床率はどれくらい上がる?
当院でこの約2年間、子宮内膜擦過術後に胚移植された方は25例で、そのうち15例が妊娠しています。
また2019年のデンマークの論文報告では、良好胚移植で妊娠不成功が1回以上ある計304名(※1)を対象とし、子宮内膜擦過術により1回以上の胚移植不成功群では統計学的には妊娠率の有意差は認められませんでしたが(※2)、3回以上胚移植不成功群に限定するとスクラッチ実施群で1.7倍の妊娠率が認められ、有意差もありました(※3)。
※1 スクラッチ実施群151名・不実施群153名
※2 スクラッチ実施群44.4%vs不実施群38.5%
※3 スクラッチ実施群53.6%vs不実施群31.1%
この論文報告から、3回以上胚移植しても妊娠できない方は子宮内膜擦過術を実施してみる価値があると考えられます。
子宮内膜擦過術(スクラッチ法)のデメリット・注意点
子宮内膜擦過術を行う際に、稀にチクチクした痛みを感じることがあります。
また少量の出血がある場合があります。出血がある場合、施術当日はシャワー浴とし、飲酒、激しい運動、性交渉は避けてください。
痛みや出血があっても着床や妊娠に影響を与えることはなく、過度に心配する必要はありません。
極めて稀ではありますが、施術後に子宮内膜や骨盤内に感染が起こる可能性があります。感染を防ぐために、清潔な環境での施術が行われます。施術後に発熱や強い下腹部痛が続く場合は、早めに医師にご相談ください。
子宮内膜擦過術(スクラッチ法)は痛い?
子宮内膜につける傷は小さなもので、施術は数分で終わります。子宮内膜をブラシでこする際にチクチクする痛みを感じることもありますが、大きな痛みは生じません。
施術後に痛みが出る場合は、我慢せずに鎮痛剤を飲んで対応しましょう。
当院における子宮内膜擦過術(スクラッチ法)の実施費用
子宮内膜擦過術は先進医療のため保険が適用されません。
当院での自己負担額は4,400円(税込み)です。
当院の子宮内膜擦過術(スクラッチ法)について
当院では複数回胚移植で妊娠に至らなかった方を対象に、子宮内膜擦過術を治療の選択肢の一つとしてご提案しております。先進医療であり保険適用外ですが、他の方法・検査より費用が安く、副作用も比較的少ない施術です。胚移植しても反復して妊娠に至らない方は、子宮内膜擦過術を実施してみる価値があると考えております。
ただし、子宮内膜擦過術は万能ではなく、必ずしも妊娠率が向上するとは限りません。そのため受けるかどうかは、患者様ご自身の状況や希望を踏まえ、医師とよくご相談いただくことが大切です。
当院では、患者様一人ひとりに寄り添い、最適な治療法をご提案いたします。